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津川博士の農業講座

農業博士:神戸大学名誉教授 津川 兵衛博士 profile
環境保全型農業のすすめ(1)
その基本的な考え方

環境保全型農業(保全型農業)では、大量に排出される家畜の糞尿や、野菜の加工の際に出る野菜くずが環境に及ぼす負の影響を農業内部で解消するよう工夫されます。また、家庭の生ごみ、あるいは庭園の樹木や生垣の剪定枝など、市民生活から出る有機物も積極的に農業の循環系へ取り込んで問題解決を図ります。つまり、畜産廃棄物や植物残渣で堆肥を製造し、土づくりに使うのです。だから、 保全型農業は自然循環型農業とも呼ばれて、化学肥料の使用を抑えるのに役立ちます。

保全型農業では農薬に代わる病害虫防除や除草の方法を確立して、環境に負担をかけない農業を持続させることを目指します。このような環境に優しい農業は、農業者が農薬に身をさらす危険を遠ざけてくれます。なお、河川や湖沼では、代かき(しろかき:田に水を張り、土くれを砕き田面を平らにする田植え前の作業)時の濁水も環境負荷要因になるので、保全型農業においては濁水を発生させない方策が追求されます。上述のように、保全型農業は自然環境の汚染・破壊を防止するだけではなく、生産現場の労働環境を改善する農業でもあり、安全で安心して食べられる農作物を供給することができるのです。

減反政策下では、農地を荒廃させないためにヒマワリやソバあるいは、ハーブ類のように茎葉や子実の収穫が期待できると同時に、満開のお花畑が観賞できる景観作物を作付体系に組み込むことが奨励されました。これも保全型農業の一形態だということになります。保全型農業が環境創造型農業の異名をもつのは、それが修景機能を発揮するからなのです。このように、保全型農業は農業・農村が有する多面的機能の向上にも一役買っています。

ところで、保全型農業技術は増収とか品質向上をねらった従来の技術とは異なり、農業者の実利との関連性が見えにくいため、普及が困難なように思われがちです。しかし、近年保全型農業技術による農作物の高付加価値化が認められるようになり、農業者の意識は変わってきています。今後、農業の構造改革が進む中で、わが国農業の主要な担い手は個別農家から認定農業者、集落営農などの経営体へ移行し、規模拡大は間違いありません。農業に自らの将来を託す若者、経済成長とは異なる価値観を農業や環境問題の中で見出そうとする定年退職者が新規就農者として参入する道が開かれてきます。都市と農村の交流はもっと緊密になることでしょう。このような社会変革の中で、優れた保全型農業技術が確立されることによって、本タイプの農業は慣行農業に取って代わるものと思われます。

神戸大学名誉教授
津川 兵衛
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