食べ物安全宣言

トップページ >食べ物安全宣言:津川博士の農業講座

■食べ物安全宣言

  • スタッフブログ
  • 代表 石田希世士のブログ
  • 丹波野菜工房
  • アップルファクトリー ジャパン
  • 清浄野菜普及研究所

津川博士の農業講座

農業博士:神戸大学名誉教授 津川 兵衛博士 profile
環境保全型農業のすすめ(7)
滋賀県の環境こだわり農産物認証制度

「滋賀県の環境こだわり農産物認証(こだわり農産物認証)制度」とは、前号「滋賀県の環境こだわり農業実施協定(こだわり農業協定)」の栽培基準、すなわち化学合成農薬(農薬)と化学肥料の使用量を慣行の5割以下(特例基準では7割以下)にするとともに、濁水防止など琵琶湖とその周辺環境への負荷を減らす技術を用いて生産された農作物を県が「環境こだわり農産物(こだわり農産物)」として認証する制度のことです。農業者はこだわり農業協定の栽培基準にのっとり農作物の栽培計画を立て、所定の受付時期(水稲・果樹・茶は1月、大豆・なたねは5月等)に県へ協定締結を申請します。この生産計画では「環境こだわり農業審議会」で審査を受け承認を得たのち、播種適期を迎えると農業者は農作物の栽培を始めます。

生産圃場には看板(こだわり農業協定で農薬・化学肥料の使用量を慣行の5割以下にした場合はA3版横以上、特例基準の7割以下ではA4版横以上のサイズ)を立てて一般圃場と区別しなければなりません。看板には「環境こだわり農産物栽培ほ場」の標題と、「農薬・化学肥料を通常の5割以下に減らし、さらにびわ湖・周辺環境への負荷を減らして栽培しています」の文言を明記します(7割以下の場合は標題のみ記入)。水稲の場合は両者とも濁水を流しませんの記入が必須となっています。その他の記載事項は所在地と地番、生産者名、連絡先と電話番号、協定番号または生産計画認定番号、栽培面積です。4色ずりの可愛らしい認証マークをつけることもできます。

栽培期間中は、農業者は 1.実施した農作業名(播種・定植・収穫等)と実施時期、2.農薬を削減するための主な技術の内容、使用した農薬名・使用時期・成分数等の生産記録の記帳が義務づけられています。この間、確認責任者(JA営農指導員等)が1回以上圃場に出むき、看板の設置状況、生産記録を点検し、栽培が適切に行れていることを確認します。なお、稲作では確認責任者は田植え時期に別に1回圃場に出むき、濁水の流出防止対策の実施状況の確認につとめます。

収穫前になると、農業者は出荷販売計画を生産記録とともに県へ提出し、こだわり農産物の認証申請をします。県は農薬・化学肥料等の使用内容、環境負荷削減技術の実施状況を点検するとともに、全農作物を対象に最大70検体を供試した残留農薬検査をへて、生産計画に沿った栽培管理が行われたことを確認します。認証許可が得られたら、農業者は農産物に認証マークを張りつけて出荷・販売となります。なお、県の承認を得て袋や店頭広告に認証マークを印刷することもできます。

収穫終了後30日以内に農業者から提出された出荷販売記録、認証マークの管理台帳の写しをもとに、確認責任者は出荷量、認証マーク使用枚数等が適正に記載されているかを調べます。そして、認証を受けた農産物が他と区別して出荷・販売されていることを確認します。

こだわり農業協定(農薬・化学肥料を5割以下に削減)とこだわり農産物認証の合計申請件数は平成13(2001)年には120件にすぎませんでした。しかし、その後次第に増加して平成18年(2006)年には1,393件と11.6倍にも達しています。申請面積では393.3haから5,799.2haへと14.7倍の増加となります。平成18年の合計申請件数(申請面積)の作物別内訳は水稲の割合が最大で62.9(93.4)%、野菜27.2(4.6)%、果樹5.7(1.2)%、茶3.9(0.5)%、その他0.3(0.3)%となっています。

こだわり農業協定を締結し、最後までやりとげる農業者の割合は水稲では95%、野菜では60~70%です。台風の来襲や病虫害の発生により協定の遂行を断念しなければならない年がありますが、こだわり農産物の生産は毎年着実に伸びております。県は今後の農業の動向を見極めたうえでこだわり農業に関連する制度を見直し、効率のよい環境保全型農業の確立を計ろうとしております。農産物の流通・小売業者、消費者は減農薬・減化学肥料を指向する農業者に協力して、ともに食の安心・安全を推進しようではありませんか。

※ 参考資料
滋賀県農政水産部(2006)環境こだわり農産物認証制度および環境こだわり農業実施協定のあらまし。
滋賀県農政水産部(2006)環境こだわり農業実施協定等説明資料。
神戸大学名誉教授
津川 兵衛
pagetop